
台湾・台北に店を構える「COFE(コフェ)」は、台湾産のコーヒーや茶葉、果物などの魅力を、チョコレートの製造技術を使って表現するブランドです。
一般的なチョコレートとは異なり、カカオそのものの風味ではなく、コーヒーや台湾茶を主役にしているのが特徴。本来は飲み物として楽しむ素材を、口の中でゆっくり溶かしながら味わう、新しい食体験を提案しています。
今回は、そんなCOFEのブランドストーリーや独自の製法を紹介しながら、台湾茶と桃を組み合わせた「金萱烏龍&桃」のタブレットに注目します。
台湾の食材への探究心から生まれたCOFE

COFEは2018年、台湾の食品ブランドディレクター、顧瑋(グー・ウェイ)氏によって誕生しました。
顧瑋氏は、台湾産の果物を使ったジャムブランド「在欉紅」や、各地の農産物を扱う「土生土長」などを手がけてきた人物です。台湾各地の生産者と交流しながら、農産物の品質や背景を理解し、その魅力を商品として届ける活動を続けてきました。
そんな彼女が新たに着目したのが、コーヒーとチョコレートの共通点です。
コーヒーとカカオは、どちらも産地や品種、発酵、焙煎などによって風味が変化します。その共通点から、チョコレートの原料となるカカオマスをコーヒー豆に置き換えるというアイデアが生まれました。
ブランド名のCOFEは、Cocoa(カカオ)とCoffee(コーヒー)を組み合わせた造語です。
そして2019年には、この技術を台湾茶にも応用した「COTE(コテ)」を発表。こちらはCocoaとTeaを組み合わせた名称で、「食べる台湾茶」をコンセプトにしています。現在は「ChaChoco(茶巧克)」という名称も使われ、台湾茶と果物、花などを組み合わせた商品へと展開しています。
茶葉の風味をカカオバターで引き出す独自製法

COFEの最も興味深いところは、カカオバターを香りの媒体として活用していることです。
一般的なお茶風味のチョコレートは、ホワイトチョコレートに茶葉のパウダーなどを加えて作ります。しかしCOFEでは、茶葉とカカオバターを低温で長時間かけてすり合わせることで、茶葉が持つ香りや風味を引き出しています。
さらに、粉乳の代わりに台湾在来の大豆「金珠黄豆」の粉を使用しているのも特徴です。
実は、台湾茶の商品開発は簡単ではなかったそうです。当初は茶葉を粉砕すると渋みが強くなり、肝心の香りを十分に楽しめないという課題がありました。そこで大豆粉を取り入れたところ、茶葉の渋みを穏やかにしながら、その風味を生かすことに成功しました。
こうして乳製品を使わない、植物性のタブレットが誕生したのです。
通常のチョコレートでは、カカオ豆の品種や産地、発酵、焙煎によって生まれる風味の違いが重要です。一方、COFEはカカオバターの口溶けや香りを保持する性質を利用し、カカオ以外の素材が持つ個性を表現しています。
私が特に面白いと感じるのは、チョコレートを完成された味として捉えるのではなく、別の素材の魅力を届けるための手段として活用しているところです。
台湾茶のテロワールをチョコレートで楽しむ

もう一つ注目したいのが、台湾茶の産地や製法による違いを、タブレットを通じて比較できることです。
台湾茶は、同じ烏龍茶でも産地や品種、発酵度、焙煎によって味わいが大きく異なります。爽やかで青々しい香りを持つものから、花や果実を思わせるもの、焙煎による香ばしさが際立つものまで、その個性は実に多彩です。
COFEでは、東方美人茶、凍頂烏龍茶、鉄観音茶、紅玉紅茶など、台湾を代表する茶葉を使った商品を展開しています。
茶葉の風味を単なるフレーバーとして加えるのではなく、品種や産地が生み出す特徴を表現しようとしているところに、このブランドのこだわりが感じられます。
そして、その可能性は台湾茶だけにとどまりません。コーヒーやワインなど、本来は液体で味わうものを固形の食品に変えることで、香りの広がり方や口の中での変化を違った形で楽しめます。
チョコレートという食品が持つ表現の幅を広げている点でも、非常に興味深いブランドです。
金萱烏龍茶と桃を組み合わせたタブレット

今回紹介する「金萱烏龍&桃」は、台湾の高山茶と桃を組み合わせたフルーツティータイプのタブレットです。
使用しているのは、台湾・阿里山の瑞里茶区で栽培された金萱烏龍茶。標高1,000〜1,250mの山間部で育つ、台茶12号という品種の茶葉です。
金萱烏龍茶は、花を思わせる優雅な香りや、ほのかにミルキーなニュアンスが特徴。発酵度が比較的低く、渋みが穏やかで、柔らかな甘味を楽しめるお茶として知られています。

そこに組み合わせるのが、台湾・桃園市復興区の小烏来で栽培された「五月桃」です。
春に収穫される小ぶりな桃で、柔らかな果肉と繊細な甘味、果実らしい酸味が特徴。COFEでは、この桃をフリーズドライで粉末にし、金萱烏龍茶の茶葉とともに48時間かけてすり合わせています。
二つの素材が持つ香りをカカオバターに閉じ込めることで、桃と台湾茶の風味を一度に楽しめるタブレットに仕上げています。
桃の甘味から金萱烏龍茶の余韻へ

桃の華やかな果実味と、金萱烏龍茶の柔らかな風味の組み合わせが魅力です。
口の中でゆっくりと溶かしていくと、まず金萱烏龍茶の穏やかな茶葉の風味、その後に桃の優しい甘味とフルーティーな香りが広がる構成になっています。

面白いのは、舌を動かすたびに、それぞれの存在感が交互に現れること。お茶の香りが前に出たかと思えば、今度は桃のフルーティーな甘味が顔をのぞかせます。

良質な金萱烏龍茶には、バニラを思わせる甘い香りがありますが、その特徴がチョコレートの中でもしっかりと感じられます。桃の風味に埋もれることなく、茶葉本来の繊細な個性が表現されているところに、COFEの技術力の高さがうかがえます。
そして印象的なのが余韻です。口の中では金萱烏龍茶と桃が交互に表情を変えていたのに、最後は二つの香りが自然につながり、一体感のある余韻へと変化していきます。
最初から二つの風味を均一にまとめるのではなく、それぞれの個性を感じさせながら、最後の余韻で調和させる。この味わいの展開が実に見事で、単に台湾茶と桃を組み合わせただけではない、完成度の高さを感じる一枚です。

一般的なフルーツフレーバーのチョコレートとは、風味の組み立て方が異なるところも面白いポイントです。
カカオの苦味や焙煎香を楽しむのではなく、桃と茶葉の香りそのものを主役にしているため、台湾茶を違った角度から味わうことができます。
また、カカオバターを使っていることで、液体のお茶とは異なる口溶けや風味の広がり方を楽しめるのも特徴。口の中で少しずつ溶かしながら味わうことで、このブランドならではの個性が伝わってきます。
台湾茶の産地や品種に目を向け、その魅力をチョコレートの製造技術で表現するCOFE。単に珍しい素材を組み合わせるのではなく、茶葉や果物が持つ風味を新しい形で届けようとする姿勢が、このブランドの大きな魅力だと思います。
商品情報
- ブランド:COFE
- シリーズ:COTE/Fruit ChaChoco
- 商品名:金萱烏龍&桃
- 内容量:40g
- 原材料:カカオバター、砂糖、大豆粉、五月桃、阿里山金萱烏龍茶葉

