白金高輪のnuageが改装中のため、南青山のmærgeで特別なデザートコースが開催された

白金高輪のnuageが改装中のため、先日、南青山のmærgeで特別なデザートコースが開催されました。乾杯のあと、厨房に案内され、枝豆とピスタチオのフムスをのせたフィンガーフードをいただくという、普段のnuageでもmærgeでも体験できない特別な流れでスタート。非日常的なおもてなしに、料理やデザートへの期待が自然と高まっていきました。その後、テーブルに移動して本格的なコースが始まります。

まず提供されたのは、山形県を代表する名水「萬年水」を使用した、透明でみずみずしいゼリーです。

ペルー料理に欠かせないハーブ「ワカタイ」を加えていて、爽やかで独特の芳香がふわりと漂います。仕上げに、とうもろこしを丁寧に濾したクリアなソースを添えることで、素材の甘みが優しく引き立ち、全体に清涼感と上品なコクを与えています。

右側は、甘みたっぷりのとうもろこしピューレをたっぷりと詰め込んだコロッケ。外側はサクッとした軽やかな衣に包まれ、中は濃厚で滑らかなピューレがとろりと広がります。

キャレドブール

クロワッサンといえば三日月形が一般的ですが、mærgeのものは正方形に仕上げられています。

目の前で丁寧に半分にカットされ、キャビアや生ハム、リエットなど、好みのトッピングを自由に選んでのせていくスタイルです。苦手な食材が特になければ、全部乗せでいく方が大半です。

私は調子に乗ってさらにキャビア大盛りでオーダーしました。サクサクと軽やかな層が折り重なる外側に、たっぷりのバターが香るリッチなブリオッシュ生地。キャビアのプチプチとした食感と上品な旨味が、口の中で贅沢に、しかし自然に広がっていきます。キャレドブールをいただくのは3度目です。私が思う良いスペシャリテとは、「オリジナリティがあること」、「どのようなコースでも全体の流れを損なわず引き立てること」、「何度味わっても飽きがこないこと」だと考えています。mærgeのキャレドブールは、まさにそのすべてを満たした、特別なスペシャリテです。

深緑

グラスの上に浮かぶ蓮の葉の上には、もみの新芽の透明なゼリーが静かに乗っています。

一度その葉をそっと避けると、下に隠れていたデザートが現れます。ヴェルデ エスメラルダのオリーブオイルを効かせたクリーミーなアイスや、シャインマスカット、メロン、キウイの瑞々しい果実、タピオカ、ナスタチウムの葉が彩りを添え、底には杉の新芽のピクルスが軽やかな酸味を添えています。

先ほど取り除いた蓮の葉の上には、マウンテンミントをコンブチャに漬けた爽やかなソースを加え、じゅんさいとデラウェアを添えます。それをグラスの中に戻して、デザートが完成します。

甘苦

どれも素晴らしいデザートでしたが、特に印象に残ったのがアブサンをイメージしたデザートです。通常苦味は敬遠されがちですが、ここでは苦味にも上品な「質」があることを教えてくれるそんな一皿。

バジルでマリネしたパイナップルとマンゴー、苦よもぎのくずもちを合わせたクレープ、苦よもぎを蒸留して作ったゼリー、そしてエストラゴンとバナナのアイスが盛り付けられています。クレープはつるっとした表面にぷるっとした食感が心地よく、口に入れた瞬間のインパクトは苦よもぎの洗練された苦味とともに華やかな香りが広がります。そこから苦味がスッと綺麗に消えていき、最後はトロピカルな甘みが口の中を優しく満たしてくれました。

青み

ローリエのスフレです。外側のローリエのパイ生地を型の代わりにして焼き上げるスタイル。

ふわふわと軽やかなスフレの中には、グレープフルーツのコンフィチュールが隠されています。横にはレモンマートルの爽やかなアイスと、グリーンアスパラのソース。仕上げにミントオイルを軽く効かせることで、清涼感とハーブの香りが寄り添います。

余韻

プラムと薔薇の蒸留水で作ったシロップに漬け込んだ桃。薔薇の香りを優しく纏わせることで、桃の自然な甘みと果実感をより華やかに引き立てています。

下にはライチやサバラン、みかんの花のジン、プラムとマルベリーのジャムが敷かれ、山梨のハナマスの香りを移したアイスを添えています。ふんわりと広がる花の香りが心地よく、最後まで優しく上品な余韻を残してくれます。

禁断の果実

シンプルながら黒く艶やかな見た目に強いインパクトがある一皿です。外側は黒い飴細工で覆われており、スプーンで軽く割ると、中から紅玉りんごのしっかりとした甘みと酸味が効いたタタンが姿を現します。

ミルクのまろやかなアイスといちじくの葉の特徴的な香り。グロゼイユの明るい酸味が効いたソースが添えられています。アダムとイブのストーリーまでしっかり作り込まれているので、今回限りではなく再登場しそうな気がします。

ミニャルディーズ

ロディックチョコレートのクーベルチュールを使ったクッキーとオペラに注目します。通常、クッキーにはココアパウダーのみを使うのが一般的ですが、こちらはしっかりチョコレートを練り込んでいるのが特徴です。上品なビター感が心地よく、口の中でほろっと優しく崩れる食感の中に、ところどころカカオハスクの歯応えがアクセントになっています。

クッキーにはエクアドル・ナポ産のカカオが使われており、それに対してオペラには伝説のカカオであるベネズエラ・チュアオが使用されています。チュアオ特有の明るく華やかな質感がオペラから感じられ、黒トリュフの香りが全体に贅沢な深みを加えています。

デザートのクオリティーはもちろん、ペアリングも完璧で感動するほどに素晴らしいデザートコースでした。nuageは改装後にnuance(ニュアンス)に店名が変わるとのこと。プレオープンしたら伺います。ミルクレープ食べたいです。笑